「不祥事の歴史」を清算できない東京電力
そして、再稼働プロセスの最終段階となった2026年1月17日、制御棒の警報システムが作動しない不備が判明した。
原因は、1996年の運転開始時にメーカーが行ったプログラミングの設定ミスであり、30年間一度も見つからずに放置されていたのである。
このミスは全205本の制御棒のうち88か所で確認された。
この修正を経て、1月21日にようやく起動にこぎつけたものの、その翌日、冒頭で説明したように、今度は別の制御棒で警報が鳴って原子炉は再び停止した。
東電は「電子部品の不具合」としているが、部品を交換しても症状が改善しない状況は、長期停止による機器の劣化や管理能力の限界を浮き彫りにしている。
これほどまでに不祥事とトラブルを繰り返しながら、なぜ再稼働は強行されるのか。
まず、東京電力管内への電力供給の安定化、LNGなど火力発電の燃料費の削減といったところが考えられる。
さらに、東京電力が抱える福島第一原発事故の賠償・廃炉費用は総額22兆円に達しており、年5000億円規模の資金を確保し続ける必要がある。
原発1基の再稼働による燃料費削減効果は年間約1000億円に上り、再稼働は東電にとって破綻回避のための唯一の道といえる。
また、突然の衆議院解散を契機に結成された新党「中道改革連合」も、基本政策において条件付きで原発再稼働を認める方針を打ち出しており、政治的な追い風も生まれている。
しかし、電力供給の安定や経済的利益のために安全性の検証を二の次にする構造が続くならば、国民の原発に対する不信感はいつまでも払拭されないだろう。