恵方巻はなぜ高くなったのか 値上げ時代に試される企業の工夫 「納得できる理由」がポイント

価格ではなく体験へ

   値上げ局面では、消費者が価格そのものよりも「納得できる理由」を持てるかどうかが重要なポイントになる。そのため、近年の恵方巻では、価格訴求に頼るのではなく、「見た目」や「楽しさ」を前面に出した売り方が増えている。

   特に目立つのが、断面の美しさを意識した商品づくりだ。具材がはっきり見える恵方巻は、写真に撮りやすく、SNSで共有されやすい。これは購入前の判断材料になるだけでなく、購入後の楽しみまで含めた体験価値を高める役割を果たしている。

   また、利用シーンを具体的に想定した工夫も進んでいる。家族で分けやすいハーフサイズや、子どもでも食べやすい具材構成の商品は、「一本いくら」という価格基準から消費者の視点を少しずらす効果がある。節分を単なる食事ではなく、「家族で過ごす時間」として提案することで、価格に対する受け止め方を変えようとする狙いだ。

   こうした取り組みは、値引きに頼らずとも、消費者が商品を選ぶ理由を作るマーケティングとして機能している。いずれにしても、恵方巻をめぐって、値上げは避けられないが、その分だけ、商品内容や売り方、伝え方への工夫が必要となっている。



【プロフィール】
石坂貴史/証券会社IFA、AFP、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、マネーシップス運営代表者。「金融・経済、住まい、保険、相続、税制」のFP分野が専門。

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