リベラルは大衆の「常情」をつかみそこねているのか
かつて、歴史学者の坂野潤治氏は、その著書『日本政治「失敗」の研究』(講談社学術文庫)で、明治期の思想家・徳富蘇峰が、日本人は極端な思想や急進的な変化を嫌い、日々の平穏と生活の安定を第一に考える「常情(=コモン・センス)の国民」であるという指摘に注目した。
坂野氏は、戦前のリベラル政党・民政党が、政治的自由や平和外交には熱心だった一方で、経済的平等や弱者救済には無関心(冷淡)であったことが、国民の支持を失う大きな原因となったことを挙げ、大衆の「常情」をつかみそこねたことで、軍部の暴走を許したことが戦前の日本の悲劇であったと分析している。
現代のリベラル層の主張に対する大衆からの反発も、こうした構図に通じるものがあるのではなかろうか。