「安全な公演実施が物理的に不可能に」...「心残り」あるも苦渋の中止決断
劇団代表の第六天魔王知乃さんや、市中央文化センターとやり取りをしていた田中円さんによると、この出来事を知った田中さんが、中央文化センターに抗議し、担当を変えてほしいと訴えた。しかし、中央文化センターから送られてきたメールアドレスは、A氏が代表を務める会社のものだったという。
また、中央文化センターの担当者からは、メールのやりとりの中で「当市委託事業者とのやり取りの中で、結果としてご対応された方に不快な思いをさせてしまいましたことにつきましては、心よりお詫び申しあげます」との謝罪は受けたが、A氏の言動の事実関係を認め、ハラスメントだと認定することはなかったとした。
第六天魔王さんはこうした市の対応について、「『意図的な加害』を否定し、『受け取り側の主観的な不快感』の問題に矮小化して責任を逃れる、行政特有のすり替え」だと、怒りをあらわにした。
中央文化センターの対応やA氏には不信感を抱いたが、公演の告知をしていたこともあり、会場を変えることはせずに準備を進めた。協力会社とは、中央文化センターの所長を介してやり取りをすることになった。しかし、音響や照明の技術的な内容についてのやり取りは、スムーズにいかなかったという。
最終的には会場から、劇場の主要設備であり、公演において欠かせない照明の制御システム「DMX回線」の利用禁止や、「音響のメイン卓を、専門知識のない事務職である所長が立ち会い、照明担当者に操作させる」といった対応を告げられたという。
第六天魔王さんは、「プロの現場において、素人が音響マスターを握ることは重大な事故(観客の聴覚被害など)に直結します」と訴える。第六天魔王さんと田中さんは、「安全な公演実施が物理的に不可能にされた」と判断。本番2日前だったが、中央文化センターでの公演の中止を決断した。
中止になった公演は、8月に別の会場で上演することが決まった。しかし、遥香さんは、「今の形ではもうできないので、(延期の公演は)楽しみな面ももちろんありますが、今の状態のものを今出したかったなという心残りはめちゃめちゃあります」と悔しさをにじませた。
たまえさんも、劇中のセリフや歌は調整が入ると説明し、「演劇って生物なので。特に、今の状態を今出せるというのが私たちの強みだったり魅力だったりするので、それを損なわれたのが大きな痛手だなと思います」と話した。
第六天魔王さんはこの件について、弁護士に相談することを検討しているという。