2024年 3月 28日 (木)

セブン&アイ 中国成功の秘密

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   中国での規制緩和の流れに乗り、日系小売業の進出が加速している。しかし、地元勢との価格競争が厳しく、収益面では苦しむところが多い。そうした中で、セブン&アイ・グループは、スーパーが2004年に黒字化を達成するなど、着実に実績をあげている。その秘密は何か。

中国では、セブン&アイグループが着実に実績をあげる(写真: 食品スーパー・王府井ヨーカ堂)
中国では、セブン&アイグループが着実に実績をあげる(写真: 食品スーパー・王府井ヨーカ堂)

   中国では、卸・小売とも外国企業による100%子会社設立はもとより、合弁の設立も禁止されていた。だが、経済の改革開放が進むにつれ、社会主義的流通システムの弊害が明らかになって、中国政府は1992年に全国の11都市で中外合弁による小売企業出店を認可し、中国への外資小売業進出が始まった。
   この時期を象徴するプロジェクトは、ヤオハンが95年に上海・浦東地区に開店した巨大店舗「ネクステージ上海」だ。グループ本部を上海に移転し、中国にスーパー1,000店を開業する計画をたてて事業拡大を推進した。だが、国内では東海地方を地盤とする中堅スーパーに過ぎなかった同社にとって、その投資はあまりに過大だった。97年にグループの母体であるヤオハンジャパンは事実上倒産、店舗などは中国企業に買い取られた。

性急だったヤオハンとは対照的に着実に進める

   あまりにも性急だったヤオハンとは対照的に、着実に中国戦略を遂行してきたのがセブン&アイ・ホールディングスだ。総合スーパー部門であるイトーヨーカ堂は94年に、オランダのマクロと同時に、中国全土でのチェーン展開権を初めて認められた。イトーヨーカ堂は1996年に四川省の成都に第1号店を出店。翌年には北京の第1号店である十里堡店にも出店した。
   セブン&アイは日本で最も多額の利益をあげ、財務基盤もあつい小売業グループだ。にもかかわらず、中国での出店は慎重そのもの。北京での第2号店である亜運村店を出すまでに3年以上をかけた。まず、中国の消費者ニーズを把握し、ブランドへの信頼を高めることを優先した。04年に黒字化を達成したイトーヨーカ堂は、08年までに北京で10店を開業する考えだ。
   01年12月、中国のWTO加盟が正式に発効した。このとき、加盟後2年以内に地理的制限、出資規制を緩和し、3年以内には両者をともに撤廃することが決まった。また、フランチャイズについても3年以内にすべての制限撤廃が決まった。こうした規制緩和の流れに乗り、日系小売業の展開は加速している。
   フランチャイズの解禁をにらんで、日本のコンビニエンスストアは中国での大規模展開を準備中だ。ローソンが中国に進出した96年には、中国にはコンビニの影もかたちも見られなかった。だが、ローソン上陸をみて、見よう見まねで出店した地元勢の成長は爆発的だった。現在、上海でのコンビニ店舗数は4,000店を突破。ローソンに続き、04年にファミリーマートも進出したが、地元勢との価格競争が厳しく、両社とも収益面では苦戦が続いている。
   04年には北京へセブン&アイグループのコンビニであるセブン-イレブンも進出した。価格競争に引きずられるのは上海と同様だが、セブン-イレブンは「協賛金なし、リベートなし、返品なし」という、中国の商習慣と逆の方針を進めている。ほとんど粗利益がないような消耗戦を続けていても、中国の小売業が何とか成り立つのは納入業者からのリベートがあるからだ。日系を含めた外資系も例外ではない。カルフールなどは「フランスの革命記念日まで名目にして協賛金を要求する」と中国のマスコミにたたかれているほどだ。

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