2024年 4月 19日 (金)

長谷川洋三の産業ウォッチ
自動車:奥田碩トヨタ自動車相談役

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

「電気自動車はまだのろく、距離もでない。まだまだだよ」

   2007年2月3日、東京大学などが組織するサステイナビリティ学連携研究機構(機構長・小宮山宏東大総長)と日本経済新聞社などが開催したシンポジウム「資源と環境が支える地球と人類の未来」で基調講演したあと、米GM(ゼネラル・モーターズ)フォード・モーターが相次いでプラグイン・ハイブリッドカーのコンセプトカーをデトロイト・モーターショーに展示したことの感想を求めた私にこう答えた。

   家庭でバッテリー充電できるプラグイン・ハイブリッドは、ブッシュ米大統領が06年の一般教書で言及したことで注目され、米自動車大手はトヨタホンダのハイブリッドカー攻勢に対抗する独自の環境車としてさっそくコンセプトカーの開発に乗り出した。しかしハイブリッドカーで先行するトヨタの奥田相談役の表情には、環境戦略では米国車に負けないという自信があふれていた。「今後10年間はガソリンの時代が続く」――。奥田相談役は、サステイナビリティシンポジウムでもこう指摘し、現実的な策としてハイブリッドカーの100万台乗せの意欲を表明した。

   しかし地球温暖化の急速な進展とともに二酸化炭素を排出するガソリン車に対する社会の厳しい目は強まっており、排出ガスのでない電気自動車の役割が見直されている。ブッシュ米大統領はことしの一般教書でガソリン消費の10年間で20%削減目標を掲げ、EUの欧州委員会は2012年までに自動車の二酸化炭素排出量を現在より25%削減するとの数値目標を設け、このうち20%を技術開発で達成するよう自動車各社に義務付けた。ハイブリッド車に限らず、電気自動車やエタノール車、ディーゼル車など、ガソリンに依存しない環境車開発競争が一段と激化することに間違いはない。


【プロフィール】
経済ジャーナリスト。
BSジャパン解説委員。
1943年東京生まれ。元日本経済新聞社編集委員、日本大学大学院客員教授、学習院大学非常勤講師。テレビ東京「ミームの冒険」、BSジャパンテレビ「直撃!トップの決断」、ラジオ日経「夢企業探訪」「ウォッチ・ザ・カンパニー」のメインキャスターを務める。企業経営者に多くの知己があり、企業分析と人物評には特に定評がある。著書に「ウェルチの哲学「日本復活」」、「カルロス・ゴーンが語る「5つの革命」」(いずれも講談社+α文庫)、「レクサス トヨタの挑戦」(日本経済新聞社)、「ゴーンさんの下で働きたいですか 」(日経ビジネス人文庫)など多数。


姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中