縫製業者が日本回帰? 中国の賃金上昇が影響
2011.02.12 09:30
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進まない現地人材の育成
ただ、今後の動向をにらみ中国生産を見直しているアパレルメーカーは少なからずある。原因は、中国の縫製工場では従業員の確保がむずかしくなっているためだ。競合が激しくなっていることはあるが、「休暇を終えても戻ってこないなどのケースがある」(縫製工場の関係者)など、「質」も問われている。
日本貿易振興機構(JETRO)の在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査(中国編)によると、現地の日系縫製業者で、従業員の「質」を問題視している企業は48.4%にものぼっている。「現地人材の育成が進まない」などの悩みも深い。
その一方で、賃金の上昇が続いている。中国での基本給(月額)は作業員クラスで1322人民元(繊維業、JETRO調べ)となり、5年前と比べると約2倍上昇した。
縫製業者はさらに安い労働力を求めて、ベトナムやラオス、あるいはバングラデシュへと進出している。JETROによると、ミャンマーのヤンゴンでは中国の発注分がシフトしていることで、生産能力が受注の急増に追いつかず、縫製業者の取り合いが起きているほどだ。