2024年 4月 16日 (火)

「日本独自の漫画文化を守るためにも」同人誌即売会コロナ3年目の行方 関係者が課題報告、都は支援策検討

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同人誌即売会を支える印刷会社の苦境

   報告会には、同人誌の印刷を専門とする印刷所ねこのしっぽ(神奈川県川崎市)、しまや出版(東京都足立区)も参加した。

   ねこのしっぽの荒巻喜光専務は、プロだけでなくアマチュア作家が手作りの本を頒布できる場が存在するのは世界でも日本だけだと話す。こうした日本独自の漫画文化を守るためにも、この会に参加することに意義があると語った。しまや出版の小早川真樹代表取締役も、荒巻さんに同意し、同人誌即売会はイベンターと印刷会社、クリエイターの3者が手を取り合うことで存在できるものであるとして、同人誌即売会主催らの生の声が聞ける良い機会だと話した。

   ねこのしっぽの代表取締役であり、日本同人誌印刷業界組合理事長を務める内田朋紀さんは、報告会で次のように述べた。

   多くのイベントの開催規模が縮小された影響で、出展者が頒布数を抑える傾向にある。21年冬のコミックマーケットでは、組合の中でも業績の良い会社であっても例年の40パーセントほどの売り上げだった。一方でゴールデンウィークに多くの同人誌即売会が無事に開催できた影響で、活動を再開したい人や新たに本を作ってみたい人からの問い合わせは増えている。ただし、コロナ前の売り上げに戻るのは数年かかる見込みだ。

   さらに内田代表は、同人印刷業界の状況が変化していると指摘する。コロナ禍で広告や販促物の受注が減った一般の印刷会社が、同人誌の印刷事業に参加してきているという。これによって同人誌印刷を専門とする印刷会社が減ってしまうと、同人誌即売会の運営に支障が出る可能性があると危惧する。印刷を発注するのが企業ではなく個人であることや、イベントの開催状況に合わせて本を搬入しなければならないなど、同人誌印刷は通常の印刷とは異なるノウハウやイベントとの連携が必要となる。そのため組合としては、組合員を増やし、同人誌即売会の開催が円滑に進む協力をしたいと話した。

   同人誌の配送や保管を手掛ける運送サービス「HakoBook」を展開するアイ・エイチサービス(愛知県豊橋市)のHakoBook事務局主任の恒川亮太さんは、この2年で預かる荷物は減っていると話す。参加予定のイベントの中止が相次いだことで、本の処分を希望する人も現れたと話した。

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