斎藤元彦知事を告発した元県民局長が亡くなってから1年。斎藤知事は2025年7月9日、定例記者会見で記者から問われ、元県民局長の私的情報がネット上に漏えいしたことについて、遺族に謝罪の意を伝えたことを明らかにした。
遺族「そっとしておいてほしい」との報道も
情報漏えいについて、「管理すべき立場にある県として、元県民局長、ご家族にご迷惑をかけたということについては、先般よりお詫びを申し上げている」と斎藤知事は説明。その上で、元県民局長の遺族に対して「県の人事課などから、謝罪の意というものは伝えさせていただいているという状況」と述べた。
遺族へ直接謝罪する意思はあるが、「県とご遺族の代理人が話をさせていただく中で、ご意向を踏まえ、現時点では私が直接させていただくことになっていない」と語った。
朝日新聞などの報道によると、県側は、情報漏えい問題について調べた2つの第三者委員会が5月13日と27日にそれぞれ報告書を公表した直後、総務部幹部から代理人弁護士に対し、県として謝罪したい意向を口頭で伝えたという。遺族側は「そっとしておいてほしい」と面会を断ったと報じられている。
文書問題の対応は適切だったとの見解崩さず
元県民局長への対応を巡っては、斎藤知事が2024年3月に記者会見で「業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格」と述べ、告発文書は「誹謗中傷性の高い文書」として公益通報には該当しないと主張してきた。
県は、2024年3月末に定年退職を迎える元県民局長の退職を取り消し、県民局長を解任。5月には停職3か月の懲戒処分とし、その後7月に元県民局長が亡くなった。
2025年3月に第三者委が公表した報告書では、通報者探しを行うなど県の対応が公益通報者保護法に違反すると認定。また、公の記者会見の場で「嘘八百」「公務員失格」など元県民局長個人を非難したことに、斎藤知事が自身の言説を強調しようとしたものであり、極めて不適切で、直後に撤回されるべきであったと指摘。斎藤知事のこの発言を「パワハラに該当する」と記した。
この日の会見では、文書問題について「県の対応は適切だったとする知事の考えに変わりはないか」と改めて記者から問われ、斎藤知事は「そうですね。これまで述べさせていただいた通りです」と県の対応は適切だったとする従来通りの見解を崩さなかった。