2025年7月20日に投票された参議院選では、躍進した参政党の演説会で、「日本人ファースト」に拍手する有権者の叫びと「排外主義反対」のプラカードの声がぶつかり合った。石破茂首相はあわてて選挙中に「外国人との秩序ある共生社会推進室」を発足させたが、移民問題に正面から取り組んでこなかった日本政治を象徴していた。
参政党に押されて首相が作った「推進室」
在留外国人が約376万人(24年末)と急増するなかで、「外国人問題」は、石破首相の退陣時期とは関係なく、次の自民党総裁選びや、これと向き合う野党の政策論議では「待ったなし(ファースト)の課題」となる。ヤジを飛ばしていた有権者も、自分の身の回りで急激に増え始めた外国人とどうつきあっていくか、外国人問題の現実と本質を深く知る必要に迫られていることが表面化した。
石破首相は急きょ設置した「推進室」の初会合で、「一部の外国人による犯罪や迷惑行為、各種制度の不適切な利用など、国民が不安や不公平を感じる状況も生じている」とあいさつ。出入国在留管理の適正化や社会保険料などの未納防止、土地取得の管理などの課題をあげ、自治体との情報共有や制度の見直しに省庁の枠を越えて取り組むよう指示した。