リスクを考えるとハードルが高い
公明党が「連立の25年」で失ったものも少なくない。「平和の党」を看板としながら、14年に集団的自衛権の行使容認が閣議決定された時は、党内や創価学会に強い反対意見がありながら、容認した。「平和の党」のイメージが大きく傷ついた。今回の自民党の裏金事件や企業団体献金改革の処理もうまく行かず、「クリーンな政治」の信頼も失われ、24年秋の総選挙では8議席減の24議席に後退した。
「連立のリスク」は国民民主や野党各党にとっても想像以上に大きい。
玉木代表自身は今のところ、「約束を守らない石破政権と協力をすることはない」と連立の可能性を否定している。が、岸田文雄政権時代に、岸田氏や茂木敏充元幹事長らと、連立をめぐって水面下で接触をしてきたことは、よく知られている。自民党関係者も、国民民主党の支持層の電力総連やUAゼンセンら労働組合の票をにらんでいる。ここまで急激に膨らんだ有権者の期待が、「自民党との連立」でどうなるか、のリスクを考えるとハードルが高い。
選挙・政治アドバイザーの久米晃さん(自民党元事務局長)に連立の可能性について聞いた。答えは、「きわめて難しい」だった。
「国民からNOを突きつけられた自民党と連立を組むことは自殺行為になる。ならば、いまのように政策ごとに押したり、引いたりの関係が一番居心地いいのでは」
(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)