「やんちゃ」の一言で過去の悪事を都合よくごまかす 被害者に配慮せず武勇伝のつもり...笑えないし時代遅れ

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   あなたの周りに「俺、昔は『やんちゃ』しててさ......」という話をする人はいないだろうか。

   現在は一定の成功を収めている大人が、「昔は悪いことをしていたけれど、今は更生して立派になった」と語るエピソード。

   しかし近年、SNSなどでこの「やんちゃ」が、自分の過去を都合よくロンダリング(洗浄)する免罪符になっているのではないかという意見が、多く見られるようになった。

  • 人に迷惑をかけた行為を「やんちゃ」で片づけていいのか(写真と本文は関係ありません)
    人に迷惑をかけた行為を「やんちゃ」で片づけていいのか(写真と本文は関係ありません)
  • アンガールズ・田中卓志さんのインスタグラムより
    アンガールズ・田中卓志さんのインスタグラムより
  • 人に迷惑をかけた行為を「やんちゃ」で片づけていいのか(写真と本文は関係ありません)
  • アンガールズ・田中卓志さんのインスタグラムより

「やんちゃ」という語の変遷と現在の機能

   『精選版 日本国語大辞典』によれば、「やんちゃ」とは「小児が、または小児のように、わがまま勝手な振る舞いをすること。だだをこねて無理を言うこと」という意味だ。つまり、「わんぱくな子ども」の行動を指す言葉であった。

   では、この「やんちゃ」がいつから好意的な意味合いを持つようになったのかは、はっきりしていない。

   ただ、1970年代以降の「大人が押しつけるルールへの反発」から始まった不良文化と結びつくかたちで、「やんちゃ」という言葉に中高生の非行も含まれるようになっていったようだ。

   そして、「やんちゃ」語りを最も後押ししたのは、90年代後半以降のテレビのバラエティー番組の影響が大きいだろう。テレビ文化を通じて、「やんちゃ」は過激だけれど愛嬌のある人物像を想起させる、ひとつのラベルとなっていった。

   とくにトーク主体の番組では、学生時代にレールから外れた芸能人たちが、自身の過去の行為をおもしろおかしいエピソードとして語ることで、「若いころの失敗を糧にした」「既存のシステムにとらわれない人間」として視聴者に好感を与える装置になり得たのである。

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