もはや自民党に「復元力」見当たらない
久米 2024年秋の衆院選では261議席(前々回の当選者)から191議席へ70議席を減らしました。裏金問題の決着がついていなかったから、と言う人もいたが、総選挙を1週間前倒しして、非公認候補にも2000万円を交付していた問題は明らかに執行部の人為的ミスと言えます。この責任を逃れることはできません。参院選でも、「2万円の給付金」について、有権者からどういう評価を受けたのか。組織として、こうした事実にきちんとけじめをつけないと、今後政党として立ち行きません。
―― 8月最終週の森山裕幹事長辞任と、石破首相の退陣は避けられないと。
久米 総裁選挙管理委員会が8月19日に開かれて欠員を補充しましたが、このあと都道府県連や全国会議員の判断が出てくる。並行して参院選挙の総括を森山幹事長のところでやっている。総括の結果が出たら森山さんが態度表明する。この二つの線はどこかで一緒になるはずです。日本社会の常識として、負け戦をやったらトップが責任をとるのは常識です。参院選大敗直後に、続投を打ち出したことによる党内の亀裂が1か月近く続いている。これも大きな石破さんのミスだと思います。
―― 支持率が上がったからといって、2つの国政選挙に大敗した責任には知らん顔、というのも通りませんね。ただ、「総裁選前倒し」は、石破首相にとっては、事実上の敗北で、総裁選に自ら出馬するなんてことはできない、と言われます。
久米 そんなことありません。総裁選前倒しは自民党にとって初めてのことです。自信があるなら、きちんと選挙敗北の責任にけじめをつけて、若い候補者たちと、自民党の再出発議論をやればいいじゃないですか。これまでの自民党には復元力があったんですが、もはや見当たらない。石破さんを倒したら、その後はどうなるか。それも見えてこない。リーダーが育っていない、そこから出直しです。去年の総裁選の石破さんを除いて8人が、これまでの約1年で、ちゃんと兵を養ってきたかどうかが見えます。勉強会続けているか、人間性、リーダーとしての資質が、改めて問われる。