今から25年後、2050年の自動車はどうなっているのか。長らく自動車の世界を追ってきた記者から見えてくる世界を描いてみた。
EV電動化目標がトーンダウンしている
ホンダの例を挙げてみる。
ホンダは「2050年にホンダの関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルを実現する」という目標を掲げている。三部敏宏社長は2025年10月29日、「現在、電動化を取り巻く市場環境は不透明な状態が続いているが、長期的にはEV(電気自動車)シフトが進むと考えている。来る電動化時代に魅力あるEVをお届けするため、着実に準備を進めていく」と、ジャパンモビリティショーの開幕に合わせた記者会見で語った。
筆者は会場でこれを聞き、ホンダが事実上、電動化の目標を軌道修正したと感じた。ホンダに限らず、フォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、ボルボなど欧州の大手メーカーもEVを中心とする電動化目標をトーンダウンしている。
「電動化を取り巻く市場環境は不透明だが、長期的にはEVシフトが進むと」というのは、その通りだろう。世界の自動車メーカーで、これに異論を唱える経営トップはいないはずだ。しかし、それは飽くまで長期的な話で、25年後に100%実現するとは限らない。