徳大寺有恒氏は「セルシオが世界一の高級車だ」と言った
そこでトヨタは北米で「LS400」と「ES250」をレクサスとして発売した。LS400は日本ではトヨタ「セルシオ」として発売された。このLS400(セルシオ)の評価は国内外で高かった。自動車評論家の徳大寺有恒氏は発売直後のセルシオを「ことによると現時点では世界一の高級車ではないか」「セルシオの出来にはおそるべきものがある」(「90年版間違いだらけのクルマ選び」草思社)と絶賛したほどである。
LS400(セルシオ)はメルセデス・ベンツやBMWなど高級車がひしめく欧州市場にも90年に進出し、トヨタはレクサスで国際的な地位を高めることになる。
ところが一方で、トヨタはレクサスを本国の日本市場に導入するのに逡巡していた。日本ではトヨタの高級車は「クラウン」、さらに別格の高級車として「センチュリー」があったからだ。トヨタブランドの上に別ブランドを築くことに抵抗があったのだ。