中国・ロシアに"口実"を与えるリスク
しかし今回の軍事介入は、かえって中国やロシアに対し、「アメリカが主権国家へ軍事介入した」という格好の材料を与える可能性がある。
とくに両国は、自らの勢力圏に外国勢力が干渉することへの警戒を強めており、「国内問題への外部介入を正当化する先例をアメリカがつくった」と主張する余地が生まれた。これは国際政治の緊張をさらに高める懸念をはらむ。
日本にとっても今回の事態は他人事ではない。
日本政府は台湾やウクライナをめぐる問題において、「力による一方的な現状変更を認めない」「主権と国際法を尊重する」という立場を一貫して掲げてきた。しかし、同盟国であるアメリカのベネズエラ侵攻を黙認すれば、こうした外交原則の説得力は大きく揺らぎかねない。
高市首相は2026年1月4日、Xで以下のコメントを出した。
「ベネズエラでの事案を受け、日本政府としては、私の指示の下、邦人の安全確保を最優先としつつ、関係国と緊密に連携して対応にあたっています。
ベネズエラ情勢については、日本政府として、これまでも、一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてきました。
我が国は、従来から、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきました。
日本政府は、こうした一貫した我が国の立場に基づき、G7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携しつつ、引き続き邦人保護に万全を期するとともに、ベネズエラにおける民主主義の回復及び情勢の安定化に向けた外交努力を進めてまいります」
今後、米国批判を避けつつ、主権尊重の立場をどこまで貫けるのか――日本の外交姿勢が問われる局面となっている。