官民ファンド「INCJ」は1547億円の損失が確定
政府主導の大型支援策への国民の不信感も高まっている。
日本発コンテンツの海外進出を支援する官民ファンド「クールジャパン機構」(海外需要開拓支援機構)は、2025年度決算で累積赤字が540億円に拡大し、統廃合が検討される状況となっている。
同じく官民ファンドの「INCJ」(旧産業革新機構)も、累計4620億円を投融資した液晶パネル大手ジャパンディスプレイが巨額の赤字を出し、2025年に保有株すべてを売却するも1547億円の損失が確定した。
日本のアニメ、ゲーム、マンガ、先端技術などは世界で戦える数少ない分野であるが、政府による大型支援策はうまくいっているとは言い難い。この状況で大企業を公金で補助する支援事業を再び始めれば、国民の目には「ばらまき」と映りかねないだろう。
政府の大規模な支援は、コンテンツ産業にとどまらない。
6月30日には、赤沢亮正経済産業相が閣議後会見で、ソフトバンクなどが設立した新会社「ノエトラ」と、経産省所管の産業技術総合研究所に対し、国産AIモデル開発の2026年度委託費として3873億円を支援すると発表した。
こうした支援が過去の二の舞とならないためにも、高市早苗首相が掲げた「官民の叡智(えいち)の結集」という旗印だけで民間企業に公金を投じるのではなく、責任の所在や結果の検証なども含め、まずはこれまでの失敗を清算する必要があるのではないだろうか。