2024年 4月 26日 (金)

スティール「乱用的買収者」には触れず 最高裁決定

   ブルドックソースの買収防衛策差し止めを求めた米系投資ファンド、スティール・パートナーズの仮処分申請について、最高裁は2007年8月7日、スティールの抗告を棄却する決定を出した。決定結果については「ほぼ予想通り」(司法関係者)との声がほとんどだが、最も注目された東京高裁決定での「乱用的買収者」の認定について、最高裁は言及しなかった。

ブルドックの防衛策は適法と判断

   最高裁が買収防衛策の是非について判断するのは初めてで、企業や市場関係者の関心は高かった。主な決定内容は、企業価値を損なう買収では、防衛策は「衡平の理念に反しない限り適法」としたうえで、「株主の判断が尊重されるべき」とし、株主の裁量の重さを指摘。スティールは買収後の経営方針を示していないうえ、ブルドックはスティールに新株予約権に見合う対価を支払っており、防衛策導入を可決したブルドックの株主総会について「判断に重大な欠陥はない」などとし、防衛策は適法であると判断した。

   ブルドックの防衛策は、実際に敵対的買収の動きが生じ、買収者が現れてから導入するという「有事導入」だったといえる。一般的には、買収者が 現れる前に導入する手法が適切だとされるが、最高裁は、防衛策が株主総会で3分の2以上の賛成が必要な特別決議としてはかられ、8割以上の賛成を得たことを特に重視した。

   一方、東京高裁がスティールについて、「企業価値を損なう乱用的買収者」と認定したことに対して、最高裁は「乱用的買収者か否かにかかわらず防衛策は適法」として、判断を避けた。東京高裁は、スティールについて、「投資ファンドという性格上、成功報酬の動機付けに支えられ」「ひたすら自らの利益のみを追求しようとしている」などとして、ブルドックが自己防衛手段をとることには理由がある、と判断した。しかし、最高裁は決定を出す判断基準として、スティールが乱用的か否かの判断は必要ないとし、あえて踏み込まなかった。

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