量産EVはまだ発展途上
日本は世界初の量産EVとして、三菱自動車工業が09年に「アイ・ミーブ」、日産が10年に「リーフ」を発売したが、販売台数はもちろん、技術的な先進性でもテスラやBYDに後れを取っている。
本来なら「世界のEVのパイオニア」を自負する日産から、テスラやBYDを凌駕するEVが出てもおかしくないはずだ。しかし、日産が25年内発売予定の新型リーフにそこまでの先進性があるとは、発表直後の現段階では思えない。
チャデモ方式の日本のEVにも優位性はある。V2H(Vehicle to home、クルマから家へ)と呼ばれるシステムで、EVやプラグインハイブリッドカーの電池に貯めた電力を自宅に送り、災害時など家庭で使うことができる。晴天の昼間に自宅の太陽光で発電した電力をEVに蓄えておき、夜間は自宅で使うこともできる。
この点、テスラはチャデモ方式でないため、V2Hに対応していない。BYDはチャデモ方式を採用しているため、日産リーフなどと同様に自宅でV2Hを行うことができる。
世界のEV市場はテスラとBYDが覇権争いをしている。まるで米中の代理戦争のように見える。しかし、そのテスラもBYDも万能とは思わない。EVはまだ発展途上であり、電池の経年劣化、充電時間など克服すべき課題は多い。
世界のEV市場にはまだ不確定要素が多く、この先は見通せない。しかし、残念ながらトヨタ、ホンダ、日産など日本メーカーからテスラやBYDをしのぐEVが登場する兆しは、まだよく見えない。
(ジャーナリスト 岩城諒)