「設置した側が逆に法的責任を問われることもあるので注意」
先の張り紙に対して、Xでは導入を試みる声も出ていた。ただ、場合によっては設置した側にリスクが生じる可能性もあるようだ。正木氏は、
「このような張り紙を見て訪問をやめようという心情になる方もいると考えられるため『訪問の抑止力』になる可能性は一定程度あるものの、表示内容や対応方法によっては、張り紙を設置した側が逆に法的責任を問われることもあるので注意が必要です」
と呼びかけ、下記のように詳説している。
「例えば、『録画させていただきます』といった記載も、無断で相手の顔や音声を録音・録画した場合、プライバシー侵害や不正録音としてトラブルの火種になる可能性があります(民法709条の不法行為責任など)。防犯目的での録画は一定程度認められるものの、それを他人への牽制や請求の材料に用いることは、許容範囲を逸脱するおそれがあります。
加えて、もしこの張り紙を『相手に対する脅し』や『過剰な威圧』と受け取られるような文面で掲示した場合、場合によっては『威力業務妨害罪』(刑法234条)や『脅迫罪』(刑法222条1項)の構成要件に近づくこともあり得ます。
したがって、こうした張り紙を掲示する際には、感情的な文言ではなく、あくまで『訪問はご遠慮ください』『対応できません』など、穏当かつ明確な意思表示に留めることが望ましいでしょう」