臨時国会の会期末を2025年12月17日に控え、自民・維新両党が提出した「定数削減法案」の今国会中の成立が絶望的な状況で、年明けの通常国会で継続審議となり、実質的には「棚上げ状態」となりそうだ。各党間では、選挙制度改革の議論が盛り上がっており、年明けには、衆院議長の下に設置された選挙制度改革に関する協議会で、中選挙区連記制や都道府県比例代表制などを軸とした具体案が審議され、来年にも30年ぶりに新しい選挙制度が実現する可能性が出てきた。
超党派議連の幹事長として、各党の選挙制度提案を調整する福島伸享代議士に聞いた。
(ジャーナリスト・菅沼栄一郎)
「定数削減法案」はたなざらしになる可能性
――先のインタビューで、福島さんは定数削減について「会期末ぎりぎりに法案が提出されて審議未了になる」との見立てでしたが、その通りになりそうですね。
定数削減法案は先週末に提出されましたが、まだ、政治改革特別委員会に付託されていません。12日11日に衆議院を通過しないと、会期内での成立は望めません。このままでは年明けの通常国会に持ち越されることになりそうですが、1~2月は来年度予算審議で手一杯ですので、「たなざらし」状態になるでしょう。
維新の姿勢に嫌気がさしたのか、こないだの土日(6,7日)には、自民党議員から「野党がんばってくれ」とか「定数削減法案が採決されたら、造反せざるを得ない」などの電話やメールがいくつも来ました。彼らは、決して定数削減がイヤだと言っているのではありません。民主主義の土台である議員定数について、国会で合意されなくても自動的に定数が削減されるようなトンデモナイ法案を共同で提出させられるような下品なふるまいを、与党の矜持として許せないのです。
―― 「身を切る改革」と強調した維新は、定数削減を「連立のための一丁目一番地」と条件を付けていましたが、「連立離脱」の可能性もありますか?
「身を切る」ということが、国民からお預かりした税金を戻す、ということならば、維新がもらっている政党交付金を返上したらどうでしょうか。定数の「一割削減」と言えば約30億円になりますが、維新がもらっている政党交付金もちょうど30億円余りです。キャバクラに使っているくらいなら、受け取らなければいい。私も無所属ですから、政党交付金は受け取っていません。
一方で、会期末に向けて、維新がどう出るか、なお見えない部分もあります。(どこまでも与党についていきます)「下駄の雪」となるのか、あるいは定数法案の成立が見通せないなら「連立離脱」に踏み切るのか。維新はこの法案を「ゆすりたかりの道具」として使っている、と私は批判してきましたが、予算関連で自民党から何かを引き出せる見通しがつくのか。そこらへんを見ています。一つの年末の政局の焦点になるでしょう。