2018年「世の中を騒がせた週刊誌記事」スクープ連発の名物元編集長が選んだこの10本
第7位<山口達也が女子高生連れ込んでチューした犯行現場-強制わいせつで書類送検>(『フライデー』5/18号)
4月26日のフジテレビ系の「とくダネ!」を見ていて、まだこんなことをやっているのかとあ然とした。「TOKIOの山口達也メンバーを警視庁が強制わいせつ容疑で書類送検した」というニュースの「山口達也メンバー」といういい方だ。テレビ朝日系の「モーニングショー」でも同じいい方をしていた。驚いたことに朝日新聞も同様である。
覚えておいでの方もいるだろう。2001年8月、SMAPの稲垣吾郎が公務執行妨害と道路交通法違反の現行犯で逮捕されたことがあった。テレビ局は、ジャニーズ事務所側の強い「要請」により、稲垣容疑者ではなく稲垣メンバーなる不可解極まりない呼び方をしたのである。
私の友人の芸能レポーター・梨元勝(故人)は、当時出ていたテレビ朝日の番組で稲垣のことは喋らないでくれといわれ、激怒して出演拒否をし、その後、テレビから疎まれ、活躍の場をネットへと移すことになった。当時はまだジャニーズ事務所の力が強かったが、もはや事務所の威光も下り坂なのに、何でこんなことをまだやっているのか。
報道の内容も不可解だった。「山口達也(46)が自宅マンションで女子高生に無理やりキスをするなどしたとして」(スポーツニッポン)、警視庁が強制わいせつ容疑で書類送検したという。
女子高生は友人と2人で山口の部屋を訪れ、被害に遭った女子高生は逃げて母親に電話をし、母親が来て助け出したそうだ。山口と女子高生はNHKの「Rの法則」で知り合ったという。山口に誘われ家に行ったのだろうが、今の女子高生がキスをされたぐらいで逃げ回るとは思えないし、今の時代、「キス」が強制わいせつだとは警察だって考えないはずだ。警視庁捜査1課は書類送検したのだから、山口容疑者ではないのか。
その山口達也が涙の記者会見を行ったが、芸能記者たちはジャニーズ事務所へ忖度して、強制わいせつの実態について突っ込むことはなかった。始まる前に山口の弁護士が、被害に遭った女子高生の両親からの手紙を読み上げた。その中に「今回、娘が被ったことは親としては決して許せるものではありません」という文言があった。キスぐらいでこういう書き方はしない。それなのに、記者たちは故意にそれを無視したのだ。
週刊誌がGW合併号に入る時期に、こうした不祥事の会見をやるのは芸能事務所の常とう手段である。週刊新潮、週刊文春なら「山口達也が女子大生にやった強制わいせつの実態」と銘打ってやるのだろうが、あいにく、次の発売はGW休刊あけの5月9日であった。
「とくダネ!」の司会の小倉智昭は、読売新聞だけが山口容疑者と書いたと紹介し、隣のコメンテーターが容疑者と書いてもいいと思いますがと重ねたが、小倉のなぜメンバーにするのかの説明は何をいっているのかよくわからないままだった。推測するに、視聴者から相当な数の批判の電話やメールが来たのであろう。
山口も涙を流して謝罪すれば、そのうちTOKIOのメンバーに復帰できるという甘い考えだったのか。年の瀬に、世の中そんな甘くないということを嫌というほど知ったことだろう。
【寸評】
2018年も芸能界発のスキャンダルも多かった。ジャニーズ事務所のタレントたちが世を騒がせた。このTOKIOの山口スキャンダルは破壊力満点だった。紅白歌合戦の常連で、NHK・Eテレの情報番組の司会をやっていた山口が、アル中で、女子高生に強制わいせつ容疑で書類送検されたというのだから。
これはフライデーの独自スクープではない。警察沙汰になったためNHKが速報を流し、すべての週刊誌、テレビ、大新聞までが報じた。
相も変わらず、ジャニーズ事務所に忖度して、テレビや新聞までが「山口メンバー」と訳の分からない肩書をつけて呼んでいたが、これは間違いなく、ジャニーズ事務所の終わりの始まりを象徴する事件であった。