世界の内燃機関のクルマで最も多いのは直列エンジンだ。他形式に比べ部品点数が少なく、コスト的には最も有利だ。直列は3気筒、4気筒、6気筒が一般的だが、6気筒になると全長が長くなるため、V型を採用することが多い。V型6気筒なので「V6」と呼ばれる。
エンジンによってクルマのデザインも変わる
直列エンジンのシリンダー(気筒)が文字通り直列に並ぶのに対して、V型はシリンダーをV字に折り曲げた形になるので全長が短くなる。直列6気筒に比べV6はボンネットが短くなり、キャビン(車室)を広くとれるメリットがある。
ただし、V型エンジンは上下方向に重心が高くなる傾向がある。直列に比べ、回転バランスや振動面で不利となるため、V型はバランサーを設けるなど、工夫が必要になる。V型には伊フェラーリのようにV型12気筒の大排気量エンジンを量産するメーカーもある。
V型エンジンのシリンダーをさらに下げ、水平に向き合うように配置したのが水平対向エンジンだ。水平対向は直列やV型に比べて重心が低く、互いに向き合ったピストンが左右の慣性力を打ち消すため、バランスがよく、振動も少ない。
向き合ったピストンの動きが、ボクシングのボクサーが互いに打ち合う動きに似ていることから、水平対向は「ボクサーエンジン」とも呼ばれる。重心の低さから「フラットエンジン」とも呼ばれる。